マトゥラーナや河本の著書において、「オートポイエーシスは位相学的シス テムである」という記述が何度も登場する。しかし、この場合の位相というも のが何を意味しているのか、明解な記述が与えられていない。
そもそも位相というのは、集合があり、その部分集合族で特定の条件を満たし ているものから得られる集合内の構造である。オートポイエーシスで言うとこ ろの位相とは、構成、特定、秩序の軸から成るとされているが、これが数学で 言うところの位相空間になっているのか、全く明らかにされていない。
つまるところ、凡人にとってオートポイエーシスの定義は意味の通らない言葉 の羅列としてしか写らず、その真の理解は非凡人による凡人のための新たな言 葉による表現か、観察者の視点の呪縛から解き放たれるための強力な外的刺激 を待つしかないわけである。