多くの方々が指摘するように、著者も社会科学における自然科学・計算機科 学の成果の盲目的輸入に関しては疑問を持たざるを得ない。しかし、オート ポイエーシスやロトカ−ヴォルテラ方程式など、自然科学から導入され社会 システム理論において有益な成果をもたらしたモデルの存在は無視出来ない であろう。社会心理学的現象における数理モデルの有効性に対しては、現象 そのものの捉え方、モデルの意味に関わる科学哲学的議論が今後不可欠であ る。